墓じまいは、お寺や霊園、石材店、役所と、それぞれやり取りをする必要があり、遠方に住んでいる場合や忙しい場合は、負担が大きくなりがちです。この記事では、墓じまいの流れと費用の目安を整理したうえで、自分で進める場合と、まとめて頼む場合の違い、依頼先を選ぶときの確認ポイントをまとめました。
墓じまいとは
墓じまいとは、いまあるお墓を撤去して更地に戻し、遺骨を別の場所へ移すことです。法律上は「改葬」と呼ばれ、市町村長の許可が必要です(墓地、埋葬等に関する法律第5条)。
墓じまいの流れ
- 親族で、墓じまいの方針を話し合う
- 改葬先(永代供養墓・樹木葬・納骨堂・散骨など)を決める
- 改葬先から、受入れを証明する書類(受入証明書など)をもらう
- 現在の墓地の管理者から、改葬許可申請書に証明の印をもらう
- 現在のお墓がある市区町村に、改葬許可を申請し、改葬許可証を受け取る
- 閉眼供養を行い、遺骨を取り出して、墓石を撤去する
- 改葬先へ納骨する
申請先は、現在のお墓がある市区町村です。申請する人が、墓地の使用者と異なる場合は、使用者の承諾書が必要になる自治体もあります。手数料や必要書類は、自治体によって異なります。
墓じまいの費用の目安
次の表は、複数の霊園・石材店・葬祭関連事業者の解説にもとづく目安です。公的な統計ではないため、実際の金額は見積もりで確認する必要があります。
| 費用項目 | 目安 |
|---|---|
| 墓石の撤去・処分・整地 | 1㎡あたり10万円〜15万円程度(一般的な区画で15万円〜30万円程度) |
| 閉眼供養のお布施 | 3万円〜10万円程度 |
| 離檀料(寺院墓地の場合) | 0円〜20万円程度 |
| 行政手続き | 0円〜1,500円程度 |
| 新しい納骨先 | 5万円〜200万円程度 |
| 総額 | 30万円〜150万円程度とする解説が多い |
改葬先の費用は、供養の形で大きく変わります。新しく購入した人の平均価格は、鎌倉新書「第17回お墓の消費者全国実態調査」(2026年)で、樹木葬が71.7万円、納骨堂が81.5万円、一般墓が152.0万円です。合祀墓(永代供養墓)は5万円〜30万円程度、散骨は3万円〜30万円程度とする解説があります。
離檀料について
離檀料は、寺院の墓地から墓を移すときに、これまでのお礼として渡すお金です。支払いを義務づける法律上の規定はないとされています。金額は、寺院との関係や慣習によって異なり、0円〜20万円程度とする解説が多くあります。
金額や条件で行き違いが生じて、判断に迷う場合は、弁護士などの専門家にご確認ください。
依頼先の選択肢
| 進め方 | 窓口 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 自分で進める | 寺院・石材店・役所のそれぞれ | 近くに住んでいて、時間に余裕がある |
| 石材店に依頼する | 石材店(墓石の撤去が中心) | 撤去工事を任せたい |
| 墓じまいを一括で扱うサービスを使う | サービスの窓口(一本化) | 遠方・多忙・体調などで、自分で進めるのが難しい |
サービスによって、寺院・霊園との連絡、石材店の手配、行政手続きのサポート、改葬先の紹介、遺骨の移送などが、どこまで含まれるかは異なります。
一括で扱うサービスを選ぶときの確認ポイント
- 対応範囲:どこまでを、サービスが行うのか
- 対象外の範囲:お寺との金額などの交渉や、書類の作成代行は、サービスの対象外とされる場合があります(弁護士や行政書士の領域のため)
- 対応地域:対応エリア外や離島などは、対象外の場合があります
- 見積もり:見積もりが無料か、見積もりの前に現地調査があるか
- 料金:支払いの時期、追加料金が発生する条件、見積書の内訳
- 複数のサービスや石材店を比べる:同じ内容でも、費用や対応範囲に差が出ます
継ぐ人がいないときは
お墓は、預金や不動産とは別枠の「祭祀財産」で、祖先の祭祀を主宰する人が引き継ぎます。決め方は、亡くなった人の指定、慣習、家庭裁判所の順で、長男・長女に限るとは定められていません(民法第897条)。継ぐ人がいない場合は、墓じまいをして、合祀墓・樹木葬・納骨堂・散骨などへ移す選択肢があります。
厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、2024年度(令和6年度)の全国の改葬件数は176,105件で、前年度の166,886件から約5.5%増えています(e-Statの公開データを整理した解説による)。
よくある質問
Q. 離檀料は、必ず払わなければなりませんか?
支払いを義務づける法律上の規定はないとされています。ただ、寺院との関係や慣習によって扱いが異なります。判断に迷う場合は、弁護士などの専門家にご確認ください。
Q. 改葬先が決まっていなくても、手続きを進められますか?
多くの自治体で、改葬許可の申請には、改葬先の受入れを証明する書類が求められています(不要とする自治体もあります)。先に改葬先を決めるのが基本です。
Q. 遠方に住んでいても、手続きできますか?
自治体によっては、改葬許可の申請を郵送で受け付けています。また、サービスによっては、現地に行かずに進められる範囲があります。対応範囲は、サービスごとに異なります。
Q. 見積もりを取るだけでも、費用はかかりますか?
サービスや石材店によって異なります。無料としているところもあるため、依頼前に、見積もりの費用と、現地調査の有無を確認しておくと安心です。
まとめ
墓じまいは、市区町村の改葬許可を受けて、遺骨を移し、墓石を撤去する手続きで、費用の総額は30万円〜150万円程度とする解説が多く、改葬先の選び方で大きく変わります。自分で進めるのが難しいときは、窓口を一本化できるサービスを、対応範囲・対応地域・見積もりの条件を比べて選ぶ方法があります。個別の判断は、専門家にご確認ください。
参考にした資料:民法第897条(e-Gov法令検索)、厚生労働省「衛生行政報告例」令和6年度(e-Stat)、鎌倉新書「第17回お墓の消費者全国実態調査」(2026年)、町田市・八王子市・五條市の公式ページ、複数の霊園・石材店・葬祭関連事業者・弁護士事務所の解説。最終更新:2026年10月14日。費用は民間の解説にもとづく目安で、地域・墓地の状況・依頼先によって異なります。この記事は一般的な情報です。


コメント